デジタル技術が進んだことにより、「〇〇テック」への注目が集まっています。
「〇〇テック」は総称して「X-Tech(クロステック)」と呼ばれ、実際にX-Techビジネスを始める企業が増えています。
そこで今回は、クロステックとは何なのかについて紹介!
- クロステック全般を簡単にでも知っておきたい
- クロステックの導入事例にはどんなのがあるの?
参考文献は『X-Techビジネス大全』: 既存産業×デジタルが最適化社会を切り拓く
X-Techの全てを網羅しており、世界が抱える社会課題の解決にどう役立っているのかや実際の活用事例、そして今後の未来がどう変わっていくのかがまとまっている。
X-Tech全体を知るなら読んでおくべき一冊
X-Tech(クロステック)とは
X-Tech(クロステック)とは、既存の産業に最新のテクノロジーを掛け合わせることで生み出される新しい価値を持つ製品やサービスのことです。
そのため、「○○×Tech」という造語で呼ばれています。
例えば、Finance(金融)とTechnology(技術)を掛け合わせたFinTechはその一例です。
X-Techの種類
X-Techは、今後既存産業に新たな変化をもたらすことで注目を集めており、今現在も続々と新しいX-Techが登場しています。
以下に簡単にまとめます。
・AccountTech
会計業務の自動化
・AdTech
ネット広告等の広告をテクノロジーにより最適化
・AgingTech
老化を防ぎ、健康寿命を延ばすテクノロジー
・AgriTech
農業(Agriculture)と技術(Technology)の融合
・AutoTech
自動車業界から発達したテクノロジー、完全な自動運転の実現に関わる分野
・BabyTech
ベビー用品とテクノロジーの融合
・BeautyTech
美容に関するテクノロジー
・BrainTech
脳科学(神経科学)の知見とICTやネットを組み合わせたビジネス
・CareTech
介護分野でのテクノロジーの活用
・CivicTech
市民(Civic)がテクノロジーを活用し行政や社会問題を解決する取り組みのこと
・CleanTech
環境(Clean)とテクノロジーの融合
・CosmeTech
BeautyTechと類似
・CreditTech
テクノロジーを活用し信用情報(与信情報)をより精緻化するビジネス
・EdTech
教育(Education)との融合、デジタル技術を活用した学習スタイルやコンテンツの改革
・EnergyTech
電気やガスなどのエネルギーの可視化、最適運用
・FashionTech
ファッションに関わる分野でのICTを活用したサービス
・FinTech
ファイナンス(Finance)との融合、電子決済はその一例
・FlexTech
フレキシブルデバイス(柔軟性のある有機エレクトロニクスのデバイス)に関するテクノロジー
・FoodTech
食品関連サービスとICTの融合
・GovTech
政府(Government)とテクノロジーの融合、より良い公的サービスの展開
・HealthTech
医療とICTの融合
・HospitalTech
病院に関わるテクノロジー
・HRTech
Human Resource(人材)との融合、人事関連業務の課題を解決するソリューションやサービスのこと
・HumanTech
人間全般に関わるテクノロジー
・InfraTech
社会インフラに関わるテクノロジー
・InsurTech
保険(Insurance)との融合、保険会社の仕事の効率化や収益性の向上
・IPTech
特許に関わるテクノロジー
・LearningTech
EdTechが教える側の進化であるのに対し、学ぶ側の進化を指す
・LegalTech
法律(Legal)との融合
・LivingTech
暮らしや生活空間に関わるテクノロジーの進化
・LogiTech
ロジスティックス(Logistics)との融合
・LoveTech
AIを活用したマッチングサービス
・MarTech
マーケティング活用にICTを活用し、効率的で効果的なビジネスを展開
・MedTech
医療分野でのICT活用
・NeuroTech
神経科学との融合
・OfficeTech
LivingTechのオフィスでの活用
・PeopleTech
テクノロジーによる個々の能力の向上
・PoliTech
政治(Politics)との融合
・PowerTech
電力に関わるテクノロジー
・PropTech
プロパティ(Property)マネジメントの効率化
・PRTech
広報活動であるPR(Public Relations)をテクノロジーを活用し効率化
・RETech
Real Estate(不動産)とテクノロジーの融合
・RegTech
規制(Regulation)との融合、主に金融規制に対応するソリューション
・RetailTech
小売りや物流・倉庫等の流通関係にICTを導入すること
・RoboTech
ロボットに関わるテクノロジー
・SalesTech
営業(Sales)活動の効率化
・SeniorTech
高齢者に関わる分野とテクノロジーの融合
・SleepTech
睡眠(Sleep)との融合、睡眠の改善を図る
・SpaceTech
宇宙に関わるテクノロジー
・SporTech
スポーツでのICTの活用、心拍数の測定やパフォーマンスの数値化等
・TalentTech
HRTechに類似
・TeachingTech
EdTechと類似
・TextileTech
繊維製品に関わるテクノロジー
・TransTech
テクノロジーにより人間の限界を超える能力を発揮することを可能にすること
・TravelTech
旅行とテクノロジーの融合
・VideoTech
映像×AIの技術全般を指す。スマホでの映像作成、動画面接等
・WaterTech
AIの活用による水の浄化の効率化
X-Techで生活が変わる例

FinTech
FinTechのサービスの例として、マネーフォワード MEという「家計簿管理」のアプリがあります。
このアプリにより、クレジットカードや電子マネー、自動引き落とし等のデータが自動で集計されます。
そのため、支出のデータが簡単に「水道・光熱費」、「食費」、「交通費」、「日用品」、「交際費」、「通信費」といったカテゴリーに分類されます。
データをもとにお金の使い方の分析もAIが行ってくれるため、これまでは手動で家計簿管理をしていた作業も必要なくなります。
WaterTech

水問題課題の解決に向けたWaterTechの例として、日本にはWOTAという会社があります。
この会社はICTを活用した水再生システムを開発しています。
具体的には、水の汚れをセンサーが感知し、汚れ具合に応じて最適なフィルターを通すことを可能にしています。
これにより、何度も同じ水を使うことができるだけでなく、AIの利用により効率化やコスト削減にもつながっています。
そのため、WaterTechはクロステックの中でもSDGsの課題解決につながる一つのため、大きな注目を集めています。
FoodTech

FoodTechの例には植物性たんぱく質を用いた「人工肉(代替肉)」があります。
健康志向の高まりとともに注目を集め、有名な企業としてはアメリカのビヨンドミート社やインポッシブル・フーズ社です。
既に、マクドナルドやバーガーキングで、代替肉を使用したバーガーのテスト販売が行われるなど、FoodTechは今後もビジネスとして大きな可能性を持っています。
生活が変わる事例を紹介したらキリがないのでここらへんで…。
X-Techで会社が変わる例
LogiTech
LogiTechでは、原材料の調達から生産・販売において発生する物流作業にテクノロジーを活用します。
例えば、以下の動画のように、Amazon倉庫では最新のロボットが利用されています。
AIを活用し棚自体が人のいる場所に動いてくることで、移動距離の最小化や棚の配置の最適化を可能にしています。
HRTech
HRTechは日本においても既に多くのサービスが活用されているクロステックの一つです。

実際に日本で利用されているHRTechサービスは上記の地図にある通り、膨大な数があります。
- 求人・マッチング
- 採用管理
- 社会保険手続
- 勤怠管理
- 給与計算
- 人材管理・評価、タレントマネジメント
- 社内コミュニケーション
- 福利厚生・教育
- 組織改善・データ分析
などなど。
これまで、人事関連業務は人間によるとても手間のかかる作業ばかりでしたが、HRTechを導入することにより、業務の効率化や質の向上のほか、AIを活用し動画面接を用いた人材採用・評価といった新しい分野への拡大も行われています。
X-Techで人間を変える例
SporTech
クロステックにより人間の能力向上に役立てている分野を一つ上げるならば、SporTechです。
スポーツにテクノロジーを活用した話として「マネーボール」という映画があります。
この映画は「マネーボール理論」という相手チームの選手の特徴や戦略をデータで分析する運営理論を活用し、経営危機に瀕した貧乏球団が勝つための突破口を見出していくストーリーです。
このように、既に映画化がなされているほど、SporTechの進化は早く、サッカーでいえば、選手の走行距離やスピード、心拍数、パフォーマンスを数値化したデータ等、リアルタイムでの分析が可能になっています。
活用事例としては、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社であるSAPがスポーツ業界に参入し、SporTechを導入しています。⇒SAPによるSporTechの事例
X-Techによる今後の可能性
今回はX-Techに関する基礎知識やそれぞれの種類と概要、そして実際の導入事例を一部紹介しました。
IT技術の進歩により、これから私たちの生活の全てが急速に変化していくでしょう。
そして今後はクロステックをはじめとしたテクノロジーにより、Society5.0という社会が到来するといわれています。
これは「必要なモノやサービスを最適化し、あらゆる人が活き活きと快適に暮らすことのできる社会」のことです。
そしてSociety5.0の実現はSDGsの17の課題解決にもつながることになります。
それだけ、X-Techのビジネスは世の中に大きな変革をもたらす大きな可能性を持っているのです。
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